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2023年第2回諫早市議会定例会 施政方針(2023年2月24日)

以下は、2023年2月に行われた諫早市議会での、大久保の施政方針となります。テキスト化し掲載いたします。

  

皆さん、おはようございます。
本日ここに、令和5年第2回諫早市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には御健勝にて御出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
今期定例会に提出しております令和5年度当初予算案をはじめ、諸議案の御審議をお願いすることに先立ちまして、私の市政運営の所信を申し述べさせていただきます。

世界中に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、今年で4年目を迎えます。本市はこれまで、ワクチンの積極的な接種や感染防止対策の徹底など市民の皆様の御協力を賜りながら、国や県と緊密に連携を図り、感染症の蔓延防止や緊急経済対策等に力を注いできたところであります。
今もなお予断を許すことはできませんが、国内でも徐々に新型コロナウイルスと共存しつつ、以前の生活を取り戻す動きも出てきており、本年は、アフターコロナへの道筋を描くための重要な一年であると考えております。
新型コロナウイルスは、社会経済活動に深刻な影響を及ぼした一方で、我が国でもデジタル・オンラインの活用によるテレワークやワーケーションが実現し、時間や場所にとらわれない新しい生活スタイルが確立されるなど、社会の在り方に大きな変革をもたらしました。
そのような中、昨年12月には、国において、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改訂し、来年度からの5年間を計画期間とするデジタル田園都市国家構想総合戦略が閣議決定されたところであります。
この新たな総合戦略では、デジタルの力を活用して、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指すこととされております。
本市におきましても、様々な分野でのデジタル化推進を念頭に、第2期諫早市まち・ひと・しごと創生総合戦略の抜本的な見直しに着手し、将来に向けた地域ビジョンの再構築を図ってまいります。

人類共通の課題でもあります地球温暖化対策につきましては、パリ協定で掲げられた国際的目標の達成に向け、2050年までに二酸化炭素等の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする方針が国において示されました。
本市におきましても、今般、市の事務事業に伴って発生する温室効果ガスの新たな削減目標等を定める諫早市地球温暖化対策実行計画を策定し、カーボンニュートラルに向けた第一歩を踏み出したところであります。
令和5年度には、市全域の脱炭素に向けたシナリオや再生可能エネルギーの導入目標値などを盛り込んだ推進計画を新たに策定する予定であり、市民の皆様の御協力も賜りながら、オール諫早でゼロ・カーボンシティの実現を目指してまいります。

昨年は、不安定な世界情勢を反映して、全国的には暗い話題を耳にする機会もありましたが、本市におきましては、長年の悲願でもあります西九州新幹線の開業をはじめ、九州最大規模となる大型商業施設の進出が計画されるなど、市勢の大きな飛躍を予感させる明るい出来事があった年でもあります。
昨年12月には、電子部品大手で国際的に事業展開をされている京セラ株式会社が、現在整備中であります南諫早産業団地の4分の3の面積に当たる約15ヘクタールを取得し、新たな生産拠点を整備されることが発表されました。同社の進出により約1,000人の雇用が見込まれており、移住・定住人口拡大と地域経済の活性化に大きく寄与するものと期待しているところであります。
このような成果は、交通の要衝としての利便性はもとより、優れた人材確保やインフラ環境の優位性など、本市の潜在能力が高く評価された結果であると考えております。
本市としましては、引き続き、新たな産業団地の計画など雇用の場の創出に向けた施策を検討するとともに、市政の重要な柱でもある子育て支援の充実をはじめ、快適で安全な住環境の整備、本市の魅力を生かした交流人口の拡大など、「来てよし、住んでよし、育ててよし!あなたのまち・諫早!!」の実現のため、力強く市政の推進を図ってまいります。

それでは、令和5年度の具体的な施策の大綱につきまして、第2次諫早市総合計画の体系に従い、御説明申し上げます。
第1 輝くひとづくり
(1)健やかなひとづくり
全国的に少子化が進行する中、持続的で活力ある地域社会をつくるためには、未来への投資として子育て支援の充実が必要不可欠であります。
本市では、子育て世帯の経済的負担の軽減を図ることを目的として、本年4月から同時在園の第2子に係る保育料の無償化を実施することとしております。
また、国や県と連携し、妊娠期から出産、子育て期まで一貫して身近で相談に応じ、個々のニーズに即した支援につなぐ伴走型相談支援や、出産準備期から産後期に係る経済的支援を実施し、安心して出産・子育てができる環境整備を推進します。
新年度からは、県内全市町で高校生世代に係る福祉医療費の助成に取り組むこととしており、引き続き県や県内市町と連携を図り、適切に事業を実施してまいります。
学校教育におきましては、物価の高騰が学校給食費の値上げにつながらないよう、食材費の上昇分に係る支援を継続するとともに、学校給食費を公会計化し、その適正管理と公平性の確保及び教育現場の負担軽減を図ってまいります。

(2)こころ豊かなひとづくり
令和6年度に開催される全国高等学校総合体育大会(北部九州インターハイ)では、ウエイトリフティングとボートの2競技が本市で開催されます。全国から訪れる高校生が日頃の成果を存分に発揮できるよう、実行委員会を組織し、各競技団体や関係機関と調整を図りながら万全の準備を整えてまいります。
また、本市は数多くのトップアスリートを輩出してきたスポーツのまちであります。恵まれた体育施設やプロスポーツが身近にある本市の財産を生かした交流事業を充実させ、将来のトップアスリートを目指す子どもたちの夢を引き続き応援してまいります。
諫早市美術・歴史館は、平成26年3月に開館して以来、市民文化の振興や郷土の歴史を継承する拠点施設として市民に親しまれております。令和5年度は、美術・歴史館開館10周年記念事業としまして、年間を通して、本市にゆかりのある文化人や芸術家に関する企画展を開催し、市民の芸術文化の振興と郷土愛の醸成、交流人口の拡大を図ってまいります。

第2 活力あるしごとづくり
(1)地域特性を活かした農林水産業
本市の基幹産業の一つである農業の振興を図るため、現在、県営事業として、正久寺地区、宇良・田井原地区、柳新田地区、長田東部地区において、農地の基盤整備事業が実施されております。
本市としましては、事業主体である県と連携を図り、担い手農家への農地集積による経営規模の拡大や農作業の効率化に大きな効果を発揮する本事業の推進に努めてまいります。
林業の振興につきましては、国土保全や水源涵養など森林の持つ公益的機能を保全するため、豊かな森づくり基金などを活用し、間伐や植栽など広葉樹林や針葉樹林の整備を進めるほか、高性能林業機械の導入や担い手の育成確保に向けた支援を実施し、林産業の収益性の向上を図ります。
また、森林環境譲与税の活用により、適切な経営管理が行われていない森林を集約し、所有者と担い手をつなぐ森林経営管理支援事業に取り組み、林産業の振興と森林の適切な管理の両立を目指します。
水産業の振興につきましては、水産資源の維持・回復を図るため、魚介類の育成の場となる藻場や浅場等の保全に対する支援や水産物の付加価値向上と産地化を目指して、諫早湾岩ガキや橘湾ヒオウギ貝の試験養殖に対する支援を継続するなど、諫早湾、橘湾、大村湾の3つの海が持つそれぞれの海域特性を生かした、つくり育てる漁業を推進します。

(2)地域資源を活かした観光・物産
 西九州新幹線の開業効果を市勢振興に生かすため、東京などの都市部において本市の優れた物産を広く知っていただくいさはやマルシェを開催するほか、行政と民間が一体となった開業1周年記念イベントの開催や福岡県内の主要駅と長崎駅のデジタルサイネージを活用したPRの展開など、積極的に本市の魅力を発信してまいります。
また、全国から多くの方々にお越しいただけるよう、各種大会やスポーツ合宿等に係る助成金の交付制度を拡充するなど、交流人口の拡大と地域経済の活性化を推進します。
令和6年度の完成を目指し、道路管理者である県との一体型で整備を進めている(仮称)道の駅251につきましては、昨年10月に基本設計が完了し、現在は、実施設計と並行して、市民の皆様に末永く親しまれる愛称の決定に向けた手続を進めております。
新年度からは、用地の取得や土木・建築工事、道の駅の登録手続に着手するなど、関係各位の御協力を賜りながら、魅力ある地場産品を生かして、本市初となる道の駅の整備を着実に推進してまいります。
国営諫早湾干拓事業によって創出され、国土交通省から都市・地域再生等利用区域として指定されている深海地先と黒崎地先の干陸地においては、コスモスの植栽やそばの栽培など地元ボランティアの皆様が景観の整備に取り組まれており、昨年3年ぶりに開催された300万本のコスモスまつりには、市内外から2万人の来場者を集め、大きなにぎわいを見せました。
また、本明川下流域のボートコースが来年のパリオリンピックに向けた、JOC認定競技別強化センターに位置づけられたほか、深海地先にはクロスカントリーコースが整備されており、交流人口の拡大に向けた、にぎわいのある交流拠点として、本市の豊かな地域資源の活用を図ってまいります。

第3 魅力あるまちづくり
(1)安全なまちづくり
自然災害が頻発化、激甚化する中、災害に強いまちづくりを実現するためには、行政機関が行う公助だけではなく、市民一人一人の自助の意識と住民同士が助け合う共助の精神に基づく防災・減災への取組が重要であります。
本市においては、地域で自主的に避難所を開設できるよう、地区公民館等の施設整備に係る支援を拡充するほか、本明川流域のコミュニティタイムライン作成や地域における防災の担い手となる防災士の資格取得に係る支援を実施し、地域防災力の強化を図ります。
また、防災情報の発信につきましても、防災行政無線による放送内容を文字で可視化し、ホームページで確認できるようにするなど、より確実な防災情報の伝達に努めてまいります。
市民の安全を守るため、日夜活動していただいている消防団につきましては、全国的に団員の確保が課題となる中、地域消防力の維持・強化が急務であります。
本市では、令和元年から消防団内に消防団組織再編協議会を設置し、組織の在り方について検討を進めており、今般、地元後援会などとの協議が整ったことから、本年4月1日付で支団制を廃止し、20個分団に再編した新たな組織体制の下、安全なまちづくりに御貢献いただくこととしております。
本明川ダム建設事業は、諫早大水害相当規模の雨量に対する本明川の洪水調節と良好な河川環境を図るための維持用水等の確保を目的としております。来月には付替県道の開通が予定されており、今後も事業の着実な進捗が図られるものと期待しているところです。
本市としましては、安全なまちづくりのため欠かすことのできない本明川ダムの早期完成を国に対し強く要望するとともに、ダム周辺地域の振興対策につきましても、国において決定された水源地域整備計画に基づき、国や県と連携を図りながら適切に取り組んでまいります。
また、急傾斜地崩壊危険区域の対策工事を実施する市営急傾斜地崩壊対策事業や、市が管理する河川等に堆積した土砂のしゅんせつを重点的に実施する緊急浚渫推進事業につきましても、事前防災の観点から、計画的に事業の推進を図ります。

(2)安心なまちづくり
持続的な地域社会をつくるためには、高齢者の皆様が、住み慣れた地域で安心して健康的な日常生活が営める環境を整備する必要があります。
本市においては、新たに、いさはやシニアおでかけ支援事業として、75歳以上の市民を対象とした交通費の一部助成を行い、高齢者の外出機会の拡大による社会参加の促進と健康増進に寄与してまいりたいと考えております。
また、社会問題となっている高齢ドライバーによる重大事故を防止する観点から、65歳以上の方に対する運転免許返納に係る支援も併せて実施することとしております。
なお、高齢者の移動手段の確保をはじめ、公共交通の維持、交通空白地への対応など地域の交通を取り巻く課題と将来の交通体系の在り方を整理した諫早市地域公共交通計画を近く策定し、課題の解決に向けた施策を推進してまいります。

(3)快適なまちづくり
市民生活を支える道路や水路、交通安全施設等の維持補修や小規模改良などにつきましては、地域のニーズに迅速かつ、きめ細やかに対応するすみよか事業を引き続き実施し、安全で快適な生活環境づくりを推進します。
幹線道路網の整備につきましては、現在、国において、国道34号大村・諫早拡幅及び高規格道路、島原道路の一部を含む国道57号森山拡幅の整備が順調に進められております。
森山拡幅事業のうち、森山東インターチェンジ・森山西インターチェンジ区間、約3.3キロメートルが令和5年度中に開通する見通しであることが発表されており、交通量の分散による渋滞解消に大きく寄与するものと期待しております。
また、県により整備が進めてられております国道207号の佐瀬拡幅、長田バイパスを延伸する東長田拡幅、県道久山港線、県道諫早飯盛線、県道有喜本諫早停車場線、県道田結久山線の各路線の整備につきましても、順調に事業の進捗が図られるものであると考えております。
交通の要衝である本市の市勢振興に欠かすことのできない広域道路ネットワークの実現に向け、現在整備中である幹線道路の早期完成のほか、有明海沿岸道路の鹿島・諫早間延伸の早期事業化など沿線自治体とも連携を図りながら、引き続き国や県に対し強く要望してまいります。
また、現在、優先度が高い四面橋交差点付近や山下渕桟橋付近の整備を進めている市道上宇戸橋公園線をはじめ、南諫早産業団地と県道諫早飯盛線を結ぶ市道栗面小ヶ倉線ほか1路線の拡幅整備など、利便性の高い快適なまちづくりを支える幹線市道の整備につきましても、着実に事業を推進してまいります。
定住人口拡大や地域コミュニティ維持への取組としまして、有識者による諫早市の新しい都市計画検討委員会の開催や市民3,000人を対象としたアンケート調査の実施など、線引き制度の廃止を含めた将来の土地利用政策の在り方につきまして、幅広い御意見を頂戴しているところであります。
全国的に進む少子高齢化や人口減少に対応するためにも、この新たな土地利用政策が諫早市の未来にとって真に有益なものとなるよう、スピード感を持ってさらなる検討を進めてまいります。
また、農振農用地区域につきましても、優良な農地は確保しつつ、定住促進が見込まれる区域においては、土地利用の現状に即した機動的な運用を図ってまいります。
諫早の魅力を伝える情報発信や地域交流活動など多方面で活躍されている地域おこし協力隊につきましては、令和4年度に空き家の利活用や小長井地域の活性化を目的とした新規隊員を採用するなど体制の拡充を図っており、新年度においても、人口減少により複式学級の小中学校を有する多良見地域と飯盛地域を主な活動拠点とする新規隊員2名の採用を予定しております。合計6名体制となる隊員の連携が、さらなる相乗効果を生み出し、より一層地域の活性化に寄与していただけるものと期待しております。

第4 計画実現に向けた基本姿勢
(1)市民目線の行政
デジタル技術の向上により社会の在り方も大きな変革の時期を迎えております。昨年6月には、国において、デジタル社会の実現に向けた重点計画が改訂され、今後の社会ビジョンとして、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指すこととされました。
このビジョンを実現するためには、住民に身近な行政を担う自治体の役割が極めて重要であると考えており、本市においては、来月中にも諫早市DX推進計画を策定し、行政分野のデジタル化を推進していくこととしております。
今後は、この計画に基づき、行政手続のオンライン化やマイナンバーカードを活用した住民票などのコンビニ交付サービスの導入とともに、来庁者の負担を軽減する新たな窓口の設置など、市民の皆様の利便性向上に向けた施策を着実に推進します。併せて、AIやRPAなどのデジタル技術を積極的に活用しながら、さらなる業務効率化を図り、行政サービスの向上に努めてまいります。
ふるさと納税につきましては、寄附の受入額が順調に伸びており、令和4年度は、既に10億円を超え、前年度実績を大きく上回る御寄附を頂いております。今後も新たな返礼品の開発や提供事業者の新規開拓、全国に向けたPRの強化などに取り組み、寄附受入額のさらなる増加に努めてまいります。
令和5年度の一般会計当初予算につきましては、少子高齢化や人口減少をはじめ、物価高、地球温暖化などの社会課題に対応するため、子ども・子育て支援の充実や全ての世代が安全・安心で輝ける暮らしづくりなどの施策に積極的に取り組んでいく「新しい諫早へ飛躍するチャレンジ予算」として編成いたしました。
一般会計の総額は663億2,000万円となり、前年度当初予算と比較して5%の増となるほか、特別会計は、国民健康保険事業会計など5つの事業会計の合計で329億2,110万円を計上しております。
また、令和4年度の一般会計補正予算につきましては、国の補正予算に伴う事業や地方バス路線の維持対策費など21億9,700万円を追加し、補正後の予算総額は727億800万円、前年度同期と比較して4.1%の減となるものであります。
本年は、我が国が新型コロナウイルス感染症の影響から日常を取り戻すと同時に、国際平和秩序の確立や深刻さを増す気候変動問題への対応、少子高齢化・人口減少対策など、将来にわたって持続可能な社会をつくるための大きな転換点となることが予想されています。
本市においても、西九州新幹線の開業など100年に一度と言われるこの大きな変革の時期を市勢振興の絶好の機会と捉え、未来を担う子どもたちに魅力と活力にあふれた「郷土・諫早」を引き継いでいけるよう、本市の将来を見据えたビジョンを描きつつ、諸課題の解決に向け、チャレンジと連携の姿勢で真摯に取り組んでまいります。

議員各位並びに市民の皆様におかれましては、一層の御支援と御理解を賜りますようお願い申し上げ、私の市政運営についての所信とさせていただきます。
このほか、今期定例会に提出しております各議案につきましては、関係部局長より説明をさせますので、御了承を賜りたいと思います。
なお、追加議案として人事案件を予定しております。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。

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