以下は、2024年9月に行われた諫早市議会での、大久保の総括説明となります。テキスト化し掲載いたします。
本日ここに、令和6年第5回諫早市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には御健勝にて御出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
初めに、8月29日から30日にかけて台風10号の本市への接近に伴い、高齢者等避難を発令し、22カ所の避難所を開設し、安全の確保を図るなどの対応を行いました。市内では、一時3,000戸を超える停電や倒木被害などが発生し、市民生活に大きな影響を及ぼしました。
今期定例会においては、こうした状況を踏まえ、招集日を8月30日から本日へと変更することといたしました。議員の皆様には御配慮を賜り、重ねて御礼を申し上げます。
全国各地で、地震や大雨などによる住宅被害や人的被害が発生をしております。台風や秋雨前線の影響で、大雨などによる災害が発生しやすい季節でありますので、市民の生命と財産を守るため、いま一度気を引き締め、防災対策に当たってまいります。
8月4日、第38回長崎県消防ポンプ操法大会において、諫早市消防団を代表して出場された多良見地域分団が敢闘賞を受賞されました。厳しい訓練に励まれてきた選手の皆様の健闘をたたえるとともに、日頃から使命感を持って熱心に活動していただいております諫早市消防団の皆様に、改めて感謝と敬意を表します。
西九州新幹線につきましては、令和4年9月23日に開業し、間もなく2年を迎えます。
JR九州によりますと、1日当たりの利用者数は前年比で約400人増の約7,000人となり、利用者数は順調に推移しているとの評価がなされております。
本市においても、諫早駅iisa(イーサ)交流広場でのイベント開催などでにぎわいが創出され、また、駅周辺の再開発やマンション建設の増加など、まちづくりが進展し、新幹線の開業効果を実感しているところであります。
一方で、整備方針が決まっていない新鳥栖から武雄温泉間については、去る5月に本県と佐賀県、JR九州の3者による意見交換が行われ、また、7月には与党プロジェクトチーム検討委員会において、関係自治体などへのヒアリングが行われましたが、依然として進展が見られない状況であり、武雄温泉駅での対面乗換えが長期化・固定化するのではないかとの強い危機感を抱いております。
新幹線の開業効果を最大化させるためには、西九州ルートの全線フル規格が不可欠と考えており、本市としましては、現状を打開できるよう、引き続き県や沿線市と連携し、国などへ訴えてまいります。
去る6月21日、国におきまして、経済財政運営と改革の基本方針2024、いわゆる骨太の方針が閣議決定されました。
この基本方針におきましては、我が国の経済状況について、春闘による33年ぶりの高水準の賃上げ実現や、史上最高となる企業の設備投資を踏まえ、成長型経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスとし、人口減少が本格化する2030年度までの中長期的な取組方針を経済・財政新生計画として定め、一体改革を推進することとされております。
具体的な政策については、職業上のスキル獲得など、リ・スキリング推進による賃上げの定着、中小企業の価格転嫁や省力化投資の支援、このほか次世代半導体量産に向けた国内生産拠点の整備、研究開発への支援や法整備検討による産業競争力の強化など、様々な方策を講じることとされております。
本市におきましても、引き続き国の動向を見極めながら、適切に市政運営を行ってまいります。
それでは、その他の市政の主要な事項につきまして、御説明を申し上げます。
諫早市の新しい土地利用政策
本市の土地利用政策につきましては、「諫早市の新しい都市計画」検討委員会からの答申を踏まえ、市議会はじめ、商工会議所、建設業協会など市内の各団体の御意見を伺ってまいりました。
その後、去る5月20日、現在の長崎都市計画区域から離脱し、市街化区域と市街化調整区域の区域区分を廃止した上で、新たな補完制度の策定を目指すなど、3つの柱を基本とした諫早市の新しい都市計画に関する方針を定めたところであります。
また、8月19日には、市の政策要望において決定権者である長崎県に対し、長崎都市計画区域の区域指定の見直し及び本市の区域区分の廃止の推進について、特別に要望を行い、それに対し知事からは、「まちづくりの主体である諫早市の方針は十分に尊重する必要がある。」との回答をいただきました。
本市としましては、令和9年度の都市計画決定を目指したいと考えており、見直しに必要不可欠である土地利用などの基礎調査に係る所要の予算案を今期定例会に提出をしております。
子ども・子育て支援
国の、こども未来戦略に基づく児童手当の抜本的拡充などを含めた、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が、令和6年10月1日から施行されます。
このたび実施される児童手当の拡充内容については、所得制限を撤廃し、現在、中学生までとなっている支給期間を高校生年代まで延長することや、第3子以降の支給額を月1万5,000円から月3万円とするなど、次代を担う全ての子どもの育ちを支える経済支援となっております。
本市としましても、国の制度改正に沿って、子どもの健やかな成長を支援してまいりたいと思います。
スポーツの振興
7月4日から7日までの期間、イタリアのミラノで開催された第19回世界剣道選手権大会において、本市出身の松崎賢士郎選手と西陵高校出身の草野龍二朗選手が男子団体で金メダルを獲得されました。なお、松崎賢士郎選手は男子個人では銀メダルを獲得されました。
7月26日から8月11日までの期間、フランスのパリを中心に開催されたパリ2024オリンピック競技大会、柔道男子81キログラム級において、長崎日大高校出身の永瀬貴規選手が2大会連続で金メダルを獲得し、史上初となる81キログラム級でのオリンピック連覇を達成されました。
また、本市出身で元オリンピック選手の森岡紘一朗さんが専属コーチとして指導に当たった妻の岡田久美子選手が男女混合競歩で入賞され、また、本市にルーツを持つ松山英樹選手が男子ゴルフで銅メダルを獲得されました。
8月7日から開催の第106回全国高等学校野球選手権大会におきましては、2年連続4度目の出場となりました創成館高校は、初戦で白樺学園に完封で競り勝ち、続く2回戦は残念でしたが、本市と友好交流都市である島根県出雲市の大社高校との大接戦は、甲子園を沸かせてくれました。
8月9日から11日までの期間、大阪府で開催された第23回全日本ビーチバレーボール高校男子選手権大会において、鎮西学院高校の梶山剛大選手、園田柊弥選手のペアが、長崎県勢として初優勝を飾られました。
また、8月開催のバレーボール全国大会では、第44回全日本小学生大会において喜々津男子バレーボールクラブが、そして第54回全日本中学校選手権大会において諫早中学校女子バレーボール部が、それぞれ準優勝をされました。
夢の大舞台で活躍され、市民に感動と勇気を与えてくれた選手たちの健闘をたたえたいと思います。
この夏、高校生スポーツ最大の祭典である全国高等学校総合体育大会(北部九州インターハイ)が行われ、本市では、ウエイトリフティング競技が小野体育館、ローイング競技が本明川水上競技場にて開催されました。
開催期間中は、全国から多くの方が訪れ、来場者数は、参加者を含めウエイトリフティング競技が約5,800人、ローイング競技が約1万4,400人に上り、交流人口の拡大が図られ、大会を通じ、諫早の魅力発信につながったものと思っております。
また、ローイング会場では、韓国の高校生による視察団が来場され、レース観戦や日本の選手たちと交流する姿も見ることができ、スポーツを通じた国際交流の可能性を感じたところであります。
開催期間中に最高のおもてなしができるよう、万全の準備を整えていただきました諫早市実行委員会をはじめ、競技団体や関係者の皆様にこの場をお借りしまして感謝と御礼を申し上げます。
文化の分野での活躍
7月23日から25日までの期間、東京都で開催されました第71回NHK杯全国高校放送コンテストのアナウンス部門において、3,144人という多くの参加者の中から、諫早高校3年の古賀美希さんが見事に、昨年に続く2年連続での優勝を成し遂げられました。同部門での連覇は大会史上初の快挙であります。
また、7月31日から8月5日までの期間、岐阜県で開催された第48回全国高等学校総合文化祭 清流の国ぎふ総文2024パレード部門において、参加20校の中から、西陵高校吹奏楽部が最高賞のグッドパレード賞マーチングバンド6校に選ばれ、2年連続での最高賞受賞となりました。
市民に大きな活力を与えてくれる若者のすばらしい活躍を大変うれしく思っております。
産業の振興
8月28日、南諫早産業団地内において、京セラ株式会社の新たな生産拠点となる、長崎諫早工場の建設開始に伴う地鎮祭が執り行われました。
主な建屋となる第1工場建設については、9月からの着工を予定されており、令和8年度の開設を目指すと伺っております。
新設される工場では、半導体製造装置に使用されるファインセラミック部品や半導体パッケージなどの生産を順次行う計画とされており、新たな雇用創出による本市への定住促進や産業振興につながるものと期待をしております。
富川渓谷周辺の治山対策
富川町の富川渓谷周辺には、長崎県指定史跡大雄寺の五百羅漢をはじめ、バンガローや森のつり橋、高峰展望台がある富川万年の森など諫早の豊かな自然を鑑賞できる場所があり、本市を代表する観光地となっております。
富川万年の森区域内において、落石などによる災害を未然に防止する治山対策を実施し、皆様に安心して利用していただけるよう林地の保全と富川万年の森利用者の安全性を高めてまいりたいと考えております。
小長井地域の振興
山茶花高原ピクニックパーク・ハーブ園は、平成3年に自然対応型ファミリーパークとして開園し、来園者が年間10万人を超えるなど、本市の観光レクリエーションの拠点施設としてにぎわいを見せています。
開園後33年が経過し、施設の老朽化が進む中、これまで、施設の管理計画や小長井地域の過疎地域持続的発展計画に基づき、交流人口の拡大が図れるよう、施設のリニューアルを検討してまいりました。このたび、過疎対策事業債を活用した施設整備を実施し、小長井地域のにぎわい創出を図ってまいりたいと考えております。
また、広域農道多良岳南部線の小長井地域区間においても、過疎対策事業債を活用した舗装補修などを実施したいと考えており、所要の予算案を今期定例会に提出をしております。
このほか、長里・小長井・遠竹の3つの小学校統合に伴い、令和7年3月に閉校となる長里・遠竹小学校の2校で実施予定の閉校記念事業についても支援を行ってまいりたいと考えております。
以下、主な提出議案につきまして、概略を御説明申し上げます。
議案第51号「諫早市立学校設置条例の一部を改正する条例」は、令和7年4月1日から小長井地域の小学校3校を統合するため、所要の改正をしようとするものであります。
議案第53号「令和6年度諫早市一般会計補正予算(第3号)」は、9億7,700万円の追加予算を計上するもので、補正後の総額は745億9,700万円となり、前年度同期と比較して5.6%の増となります。
なお、追加議案として令和5年度各会計決算の認定に関する議案などを予定しております。
以上、総括的に申し述べましたが、詳細につきましては担当部局長から説明をいたします。
何とぞ、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げ、私からの総括説明を終わります。